3/21 能登
金沢の知人のお世話になり、車で能登を案内していただく。小木中学校の避難所、鵜川地区などまわる。
車で片道3時間、1日たった今でも微弱な酔いが。原因は道路があちこちででこぼこしているから。工事中の箇所が100箇所くらいあったのではないかと思う。特に橋のつなぎめ。橋は落ちないけど地面が落ちてしまって段差ができる。震災直後はパンクが多くて修理剤が大量に必要だったそう。
特にひどいところでは、ガードレールが宙に浮いていた。山の斜面に造成した道で、山肌を削ったほうは頑丈なのだけど、盛り土をしたほうが弱くて土が流れてしまう。そういうところも、消しゴムで線を消して引き直すように臨時の道が作られていく。土木すごい。こういう作業は現場の計画でどんどんできるように、事前に協定が結ばれているそうだ。
(追記)案内してくれた地元の方は、このガードレールを「シュール」と形容していた。大変なのは現実だし炊き出しなどたくさん動いていらっしゃるかただけど、「被災」とは違う語りが必要とされているのかな、と思った。能登にはいろんな面白い人がいるからそれを見てほしいとも言っていた。
避難所は体育館の半分ほどに40戸ほどの段ボールで囲われた生活空間が残っている状態。中学3年生の門出をみんなで祝いましょう、と自治体の職員さんが声をかけて、この状態のまま卒業式をやったそう。花飾りなども避難者の方が作ったとのこと。ここはランチは週5で自衛隊の食事がでて、夜は地元の事業者さんが行政から800円でうけおってお弁当を作っているそう。800円というとビジネス的にはまわりそうな気がするけど、みんな利益度外視で栄養のある料理を提供しようとするらしい。避難所はひとつの町のようなもので、コの字型に家を配置して真ん中のスペースに屋根をかけ、お茶の間のようにしている避難所もあるそうだ。プライベートとパブリックの中間の領域が重要そうだ。小木の避難所ではストーブのまわりにおばあさんたちがあつまっていた。一方で避難所をしめるむずかしさもあって、依存が生まれてしまったり(「ありがとう」を言わなくなって軋轢がうまれている場所もあるとのこと)、行き場所がない人もいるらしい。地銀も職員が複数の店舗を兼ねており、週に2−3日しか営業していない。日常とはほど遠い。
小木といえばイカキング。イカ漁がさかんなところ。寄せ書きとか至るところにイカが描いてある。海はほんとうにおだやかだ。
鵜川地区は、家屋の被害がかなり大きかったところ。それまで生活を成り立たせていたものが文字通りフレーク状の端材の山になってしまっている。道路に散乱していたものを敷地まで片付けたところ。川の向こうの地域ではほとんど被害がないのに、ちょっとしたことで影響の出方が違う。残酷だ。