私の手の倫理(15)肌を創り可能性を引き出す手
傷病や闘病で変化した見た目をメイク
でフォローする化粧品メーカーさんの
ライフクオリティービューティー
センターに初めて伺いました。
食道がんになり、抗がん剤治療で
生まれたシミのカバー他顔を明るく
健康的に見せられたら…とプロの方に
委ねてみる事にしたのです。
その時手はメイクツールになり触診の
様でもあり、可能性の出入口でした。
自分の肌色に近いカバーファンデー
ションを指先に軽く取り灰色がかった
シミの上に乗せて、色の変わった境界
を点描の様に軽く馴染ませていきます。
体温と地色で柔らかくなり同化して
くれた所に、仕上げは肌色のお粉で
押さえて崩れを防ぎます。これで
見た目には殆ど分からなくなりました。
術後、こんなにも顔の肌色に向き合い
触れながら自然に更新されてゆくのは
不思議な気がしますね。
頬紅も血色を気にしてやり過ぎや
やらなさ過ぎで、悩ましかった所を
光の様に頬骨の角度に色を当てたら
上手くいく様に。色を与える、よりも
肌体温の少し先を乗せる感覚です。
ハンドマッサージではいい香りの
クリームで手のひらの他に指の付け根
から指先に向け側面に沿って進み、
途中で半回転させて爪にもゆっくり
塗り与えます。
普段は無自覚な"乾いてるなぁ、力が
入っているなぁ…"が触れながら良く
分かり5本指1本ずつを片手にしただけ
でも手が軽く和らいで潤います。
肌や骨の輪郭にもアプローチする
心地良さは指から痺れが出てゆくかの
様で、此処から血流が変わり全身の
巡りも良くなったみたいです
(毎日夜に継続中)。
メイク="着飾る"が主だった概念が
症状と共生しながら整えてゆく、にも
なりました。
肌は表情や体調がはっきり示される
もので、その理想を描きながら労い
伝えて下さる方の手はとても温かく
変化の落胆や不安を緩和してくれます。
心身の揺らぎに医療とは又違うケアの
方法を見知れた事は、内に籠らず今後
も生活を続ける中で制限を減らし
意識の可能性を引き出す"手"になって
くれると信じて大切にしたいですね。
(Y.I.さん)