私の手の倫理(9)柔らかい手
自分の結婚式で、ポーズをつけてくれたカメラマンにびっくりされたことがあります。「手のひらが女のひとみたいに柔らかいね」って。少し心外だったのだけど、私は介護職で身体介護もする仕事だったので、良いことだと思い直した経験があります。全く意識したことがなかったメリットだけど、わたしがこの手でふれることで介護がスムーズにいっていたことがあるのかもしれません。(Y. T.さん)
自分の結婚式で、ポーズをつけてくれたカメラマンにびっくりされたことがあります。「手のひらが女のひとみたいに柔らかいね」って。少し心外だったのだけど、私は介護職で身体介護もする仕事だったので、良いことだと思い直した経験があります。全く意識したことがなかったメリットだけど、わたしがこの手でふれることで介護がスムーズにいっていたことがあるのかもしれません。(Y. T.さん)
車椅子に移乗するときは、お姫様だっこみたいな感じで、首とひざのあたりに手を添えて持ち上げてもらうことが多いので、首とかのあたりは、体をちょっと動かして、自分が楽にいられるポジションに入っていったりすることがありますね。あとは抱えるときのその人との密着ぐあいを調整します。手だけでお姫様だっこをすると相手に負担がかかってしまうんです。(T. I. さん)
介助者がふだんどういうふうに服を着ているかとか、どういうふうに髪の毛を洗っているかとかが、影響しますね。アプローチの仕方が人によって全然違うんです。結局のところ、介助がどういうふうに成り立つかは、その人との関係でしかないんですよね。そういう人の違いが出るから、介助はダンスっぽいなと思います。わりと人がどういうふうに考えているのかを、介助を通して察する方に、ぼくは興味があるのかなと思います。
一ヶ月ぶりに介助するときとかは、動線や物の位置とかが分からなくなって、「どうやってやるんだっけ」ってなっていたりします。手順のようなものは覚えていても、体の感覚は一ヶ月たつと忘れちゃう。それはお互いで、ぼく自身も「この人の体の位置関係はどうだったっけ」ってなっちゃうことがありますね。やっているうちに「あ、この位置だった」「この力の入れ具合だった」って思い出すんです。すごい感覚的なものですね。(T. I. さん)