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森田かずよさん

ダンサーとしても活躍する森田かずよさんへのインタビューを行いました(バレエのレッスンを見学させていただいたあと、鶴橋の名店でお好み焼きを食べながら)。お話はまず、ご自身のレントゲン写真と人形を見せていただくところから。義足をはめているときとそうでないときの「二つの体」や、左右が異なる体のバランスのとりかたについて。体の複雑さに対して、冷静かつ情熱的に向き合う森田さんの話し方が印象的でした。


 森田かずよさんプロフィール

1977年大阪府生まれ 。義足の女優・ダンサーとして活動。二分脊椎症・先天性奇形・側湾症を持って生まれる。18歳より表現の世界へ。表現の可能性を日々楽しく考えながら、義足の女優&ダンサーとして活動。「PerformanceFor All People.CONVEY」主宰。ダンススタジオP’spot14を含めたNPOピースポット・ワンフォー理事長。循環プロジェクト、奈良県障害者芸術祭ソロダンス「アルクアシタ」、ニットキャップシアター、ヨコハマパラトリエンナーレ、ファウストの恋人、庭劇団ペニノ、SLOWMOVEMENT他出演多数。子どもや障害のある人へのダンスワークショップ講師やコーディネートも行う。第11回北九州&アジア全国洋舞コンクールバリアフリー部門チャレンジャー賞(1位)受賞。⇨公式サイト

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◎自分の体をイメージする難しさ

森田 これ、私のレントゲン写真です。いまの主治医に変わって十年くらい経つんですが、毎回診察のときにこれをくれるようになって、けっこうそれからいろんなことを考えるようになったんですよ。

 

伊藤 わあ、すごいですね。

 

森田 それをきっかけに人形を作ったんです。井桁裕子さんという日本を代表する人形作家さんと、3年かかって作りました。本物は私の三分の二サイズで、井桁さんのところにあります。それが一昨年お披露目になりました。これは、一番最初に彼女と会ったときに作った陶器の人形です。

 

伊藤 井桁さんからの依頼で作ったんですか。

 

森田 私が5年くらいまえに、Facebookとtwitterで、フィギュアを作ってほしいと呼びかけたんです。それで井桁さんと知り合いました。私は自分の体をイメージするということが難しいんです。太ったり痩せたりとか違いはあるけど、みんなだいたいの大まかな身体というのは想像できると思うんですよね。それが私は全くできない。

 

伊藤 自分の体についてのイメージが持てない、というのは面白いですね。どういうことですか。

 

森田 だって骨格とかを習うじゃないですか。でも私はそれが全く当てはまらない。欠損としては、右の肋骨がないといったことを教えてもらっていますが、曲がり具合とか、筋肉のつき方とか、そういうのを入れたら分からなくなっちゃって。最初は、フィギュアを作ってもらおうと思いました。舞台の衣装を作るのが大変なのですが、そうしたら衣装さんが私の体のトルソーを紙粘土作ってきてくれたことがあって。

 

伊藤 なるほど。私が自分の体についてイメージするのに、骨格見本などの知識を参考にしているという自覚はありませんでいたが、確かにそうですね。

 

森田 そこからたとえばダンスをするにしても、先生が見本をしてくれるけど、それはいわゆるふつうの健常の身体じゃないですか。それを私だったらどうすればいいのか、というのを理解したくなって、人形を作ったんです。

 

伊藤 今日見学させていただいたバレエのレッスンも、先生の見本を見て、「翻訳」というか…

 

森田 そうそう、一回「ほどく」感じ。だから私は全体を見れなくて、パーツを見てしまうところがある。バレエなので、全部ができなくてもいいんですけど、健常といっしょに受けるレッスンは、いつもそういうかたちでものを考えてます。そういうふうに考える癖がついてしまっていますね。自分だったらこうするなと考えるわけです。結果として全然違う動きになっていることが多々あるんですけど、でもそれはあくまで見本だからね。

 

伊藤 なるほど。ということは、ほどいて翻訳する作業は習慣になっていたけれど、人形を作ることでより理解が深まったんですね。

 

森田 理解が深まったかどうかは分からないんですよ(笑)。作ってみてどうでしたか、とよく質問されるんですが、この完成品に関しては、もうこれだけで存在として力を持ってしまって、私の体を出ちゃった部分があるんです。特に展覧会に出すと、これは私以外の力が強いなと思いました。でもこの小さい方は、やっと、自分の曲がり方みたいなものが、ちょっと分かって面白かった。自分の後ろ姿とか、なかなか見たことがなかったので。

 

伊藤 自分の体と向き合うというのは、とまどいというか、恥ずかしさがないですか。

 

森田 それこそ作る段階からヌードですから(笑)。女性の作家さんだったけど、会ってすぐにそれができたというのは、今考えると不思議だなって思いますね。ヌードになって、井桁さんがスケッチと写真をたくさんとりました。もともと違う体をつくることに興味がある作家さんだったんですが、やっぱり私の体は全然違うと言っていましたね。解剖学的に違いすぎて訳が分からないって。どことどこの骨がつながっているのかって。すごくいろいろな角度から写真をとってました。

 

◎年齢の影響

17761676_1366584370030996_532909671_o.jpg伊藤 具体的には右の肋骨がないということですか?

 

森田 右の肋骨は、たぶん下の三本がないです。側弯も、ふつうの側弯と違って、ぞうきんをしぼるみたいにねじれています。足は脛骨が欠損で義足をはめています。義足は大腿からの義足です。

 

伊藤 義足は靴のように「履いている」感じですか?それとも竹馬のように「乗っている」感じですか?

 

森田 どっちでもないと思います。私は感覚はあるんですが、義足をはめることによって膝から下の感覚が失われるんですよ。脱いでると肌が表に出るから感覚があるけれど、義足をはめると覆われて感覚がなくなるんです。

 もちろん靴ずれのように物理的にあたってしまうと痛いです。でも、衝撃は膝で70%くらいを受けているので、つま先で感じるわけではないんです。だから「突き刺す」という感じですね。膝から地面を突き刺している感じです。曲がらないから余計そう感じるのかもしれませんが。

 

伊藤 食い込むような?

 

森田 そういう感じ。食い込むか、回旋するかですね。

 

伊藤 床の感触は感じないですか?カーペットの上を歩くときと、コンクリートの上を歩くときでは違いますか。

 

森田 それは感じます。あとフローリングだとすべる感じもあります。

 

伊藤 いまは定期的に通院されているんですね。

 

森田 はい、半年に一度外科整形に行っています。二分脊椎なので泌尿器科、呼吸器科、それから卵巣をひとつ摘出しているので婦人科にも行っています。卵巣は、三年前に癌の疑いでとることになっちゃったんです。障害者は他の病気になるとすごい大変な思いをすることになるんだなっていうのが分かりました。整形で行っていた同じ病院だったから助かったことが山ほどあります。別の病院だったら全部最初から説明しなおさなくちゃいけないですから。

 

伊藤 体のパーツで考えていたら分からないことがあるということですね。

 

森田 そうです。側弯は、脊髄の中に神経や血管が入っているわけですから。特に血管の走り方は入り組んでいるらしいです。いまは3DのCTスキャンでわかるんですよ。卵巣をとる入院のときに、整形の先生が3DのCTスキャンの予約を入れてくれたんですが、「いやあ、入り組んでたよ」って。「あ、そうなんだ」みたいな(笑)。

 卵巣の手術をしたときは、初めてリハビリもやりました。それまではやったことがなかったのですが、そのときはもとの体力に戻したくてやりました。

 

伊藤 年齢的な変化を感じることはありますか。

 

森田 もう40歳になるので、ちょこちょこ出てきますね。肺活量が落ちてきたというのがあります。最近車椅子に乗るようになった理由がそれです。荷物がなくても5分歩くと、息があがっちゃう。肺活量は720mlくらいしかないので、ふつうの人の半分から3分の1くらいです。どうしても右の肺が圧迫して、ほとんど無い状態なので、左だけで息をしています。風邪をひくとすぐに悪化するし、インフルエンザになると肺炎に直結するんです。

 今日のように食事に行くときは、消化にエネルギーを使うので車椅子ですね。家の中や近所の郵便局やコンビニは歩いていきますけどね。肺活量のために車椅子になったけど、それで筋力も落ちました。体が助かっている部分もあるのでバランスを保たないとやれないんだなあ、と思いますね。

 

伊藤 年齢の影響は切実ですね。

 

森田 30代で癌かもしれないと言われたとき、びっくりしました。早く年をとっていくだろうということは想定していたんですが、それは体への負担の問題として考えていたので。他の病気にもかかるんだ、と驚いたんです。障害があると、病気にかかったときに切れるカードがすごく少ないんだなと思いました。私は切開手術をして、結局良性だったんですが、手術する前に、「悪性だった場合、この体で抗がん剤が使えるか分からない」と言われたんです。それまでは、障害があるっていうのは、嫌なことはあるけど、そんなに不利なことだとは思っていなかったんです。

 

伊藤 なるほど。それは前例がないから、抗がん剤を使ったときにどうなるか分からないということですね。

 

森田 そういうことだと思います。それだけ障害者が長生きになったということでもありますが。今後そういうことはもっと考えられていくんだと思います。

 

◎左右の感覚

伊藤 肩の状態はどうですか。

 

森田 左肩が上がっているので、肩甲骨が引っ張られている感じですね。私は二分脊椎でも脊椎の手術をしていないので、神経が残っています。なので、そこを触ると全身に痛みが走るし、反対に引っ張っているときもあります。逆立ちのように肩を使うダンスをしちゃったときは、ずっと痺れがきます。そういうことが増えましたね。

 

伊藤 左右の足の役割分担はどうですか。

 

森田 ほとんど左に乗っています。右に乗るということはほぼないです。右に乗るためには骨盤を立てないといけない。足だけの問題ではないんです。調子いいときはぐっと引っ張れたりするんですけどね。その芯が通ったような感覚をなぞろうとはしますが、なかなかうまくいきません。バレエなどをしているとよく分かりますが、本当に日々調子が違います。今日は体が重かったです。

 ステップで左右の足を使わなくてはいけないときは、見ていただいたとおり、かなりごまかしています。右に体重がかからないように、すぐに左に移る。

 

伊藤 でもこのまえのSLOW MOVEMENTの最後のほうで、左右の足でゆっくりリズムを取っているシーンがありましたよね。あれがとても印象的でした。左右均等ではなかったけれど、ゆったりしたやわらかい感じがあって、あれはどうやっているんだろうと思いました。

 

森田 たぶん、左の足のうらを使っていたと思います。左足のうらのどこをつくか、右足のつき方を調整しているんです。左足は歩いているときは踵が浮いているんです。だからやわらかい感じがしたのかもしれません。

 

伊藤 なるほど。右足のつき方も左足で調整するんですね。

 

伊藤 森田さんにとって、左右の感覚がどうなっているのかが気になります。不均衡やねじれがあると、左や右の感覚はどうなるんだろう、と。

 

森田 たぶん全部左に行っていると思います。血の巡りも左と右で違います。右は冷え性のような感じで冷たいです。右は伸びない部分が多いので、同等では全くないですね。

 利き手はもともと左だったんで、右手は「握る」という感覚がありません。「挟む」んです。挟む力はとても強いんです。親指の根元など挟むのに使っている部分はとても発達しています。

 でも学生のときは、肩のところで手にかけるようにして、右手でカバンを持っていました。重さに耐えられたんです。「握る」のではなく「かける」。学生のときはカバンを二つ持っていて、今から考えるとよくやれてたなと思います。

 

伊藤 二つでバランスをとるのは難しそうですね。重心をどこに置く感じなんでしょうか。

 

森田 重心は左にありますが意識して真ん中に持ってこようとはします。ただ、義足が変わると全く変わっちゃったりするんですよ。同じ義足を作っているつもりなのに、絶対に違うんですよ。

 バランスが違うんです。義足を作るための計測のときに、足先の位置がちょっと違うだけで全体がずれちゃったりする。作る過程で、パーツがついてくると重くなってどんどん調整ができなくなります。義足全体の重さは1.5キログラムあります。

 私の義足は、大腿のところまで全部鉄が通っているんです。むかしはチタンの薄いのを使っていたんですが、踊ったりしているうちに折っちゃったんです。義足でもっといろんなチェレンジをしたいけど、これを作るので精一杯です。いまは車椅子になったので5年くらい持ちますが、中学生のころは成長するので1年くらいで作り変えていました。でも日本の制度では、1年半経たないとお金がおりないんです。それで無理やり使ったりしていました。

 

伊藤 「体幹」という感覚はありますか。

 

森田 人より意識していると思います。そもそもまっすぐにならないので、「何がまっすぐ?」みたいなことをずっと考えています。もう大人なので即彎がこれ以上進行して曲がってしまうことはないのですが、重力があって、だんだん骨がもろくなることを考えると、ちょっとは上げておかないと、と思います。そうでないと、内臓負担がでたり、腰が痛くなったりしてしまうので。

 でも腰はお尻で受けていないんだと思います。車椅子に乗ったときは、形だけは受けていますが、それは無理やり腰をお尻に合わせているような感じで、もともとはあっていないんです。座るときは、今もそうですが、左足を曲げて右のお尻の下に敷いています。高さの問題もあるし、ポイントの問題もあります。

 

伊藤 なるほど。足を敷くことで、腰をお尻に乗せているんですね。他に生活のなかでいつもやってしまう「癖」のようなものはありますか。さっき、レッスンを見せていただいていたときに、右手を脇の下に挟んでいることが多かったように思ったので…。

 

森田 ああ、脇のところの大きさは子供の頃から変わっていないんですよ。私の場合は、側弯の深度がこのままで成長したので。

 

伊藤 脇に手がすっぽりはまるというのが森田さんならではのポーズだなと思いました。

◎二つの体とダンス

伊藤 ダンスを始めたのはいつですか。

 

森田 18歳のときです。高校のときに音楽座のミュージカルを観てお芝居をやりたいと思いました。芸大に入りたかったのですが断られて、「障害があることでどこまで選択肢が狭まるんだろう」ということはそのとき考えました。それを変えていきたいなと思って、大阪のミュージカルスクールに通いました。練習もかなりハードでしたが、先生を一人つけてくれました。今もその先生と付き合いはあります。11年前に自宅にスタジオができたのは、あのときの人脈のおかげです。

 

伊藤 最初はダンスではなかったですね。

 

森田 物語を含めて、言葉でちゃんと主張できる人になりたかったんですよね。お芝居も同じくらい好きで、今も続けています。虚構の物語の中に自分のリアルな体がどう存在させていこうか考えることも好きです。だから私は純粋なダンサーではないです(笑)。

 

伊藤 ソロの作品では義足を外して踊っていますね。

 

森田 「アルクアシタ」(2012)という作品では、自分の「歩く」ということを考えながら作っています。自分の体で感じることをダンスにするのが好きだと思います。

「アルクアシタ」は、初めてしっかりつくった作品なんですが、義足を一回はずしてみたかったんですよね。義足をはめているときとそうでないときでは、まったく体が変わってしまう。二つの体があるみたいな感覚なんですよね。それをちゃんとダンスで見せたいと思った。それは外すシーンも含めて見せたいと思ったんです。

「歩く」ということが人にとってどういう意味を持つのか。友達がこどもを産む年齢だったので、「歩く」と「しゃべる」は、赤ちゃんが人間として認めてもらう瞬間だなと思いました。じゃあ、それができない障害がある人っていうのはどうなんだろう、と自分のことを考えた作品だったんです。私にとっては「這う」のも歩くだし、いろんな「歩く」があるので、それを見せたかったんです。

 

伊藤 義足をはめているときとそうでないときでは、別の体、別の「歩く」なんですね。具体的にどのように体が違うんのですか。

 

森田 体のバランスをとるときにどこに重力のポイントをもっていくかが、義足をはめているときとそうでないときで違っています。ダンスで、義足をはずして座って踊るときもあるんですが、座ると重さを下に落とす感じです。下丹田のあたりにポイントがありますね。でも義足して立っているときは、もっと上、左の肋骨の下から三本目の奥あたりでバランスを取っていますね。左の肋骨の奥でとっていると、右半分が落ちるのであまりよくないんだけど、体的にはここが一番気持ちいい。胸の左側ですね。義足をはずすと重さが変わるので、バランスのとり方が変わるんです。

 

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伊藤 左の肋骨の奥でバランスをとる、というのはどういう感じなんでしょうか…。

 

森田 左に引っ張られる感じかな。右はないから引っ張られることがないんだけど、左は上がっている感じがするんです。脇の下から肋骨のあたりを意識してますね。「ここが私の中心」みたいな感じですね。大切なものが密集している感じ。全然中心じゃないんですが、私にとってはここなんです。ここが出っ張っているからなのかもしれませんが。

 

伊藤 面白いですね。私にとっては肋骨のあたりというのは、ふだん意識することが少ない部位なので、そこに中心が来るというのはとても新鮮な気がします。

 

森田 「気をつけ」と言われて、子供がきゅっと胸をだしちゃうところ、あそこに近いかもしれません。心臓よりはちょっと外側です。

 でも義足をずっとつけているのはしんどいので、つけない日もあります。「今日は私何もできないよ」って親に宣言して(笑)。

 

伊藤 やっぱりつけていない体が森田さんによってベーシックな体なんですか。

 

森田 よく分からないんですよ。つけているときは、「はずしているときの方がニュートラルな体だ」と思うときもあります。だってバランスは確実に取れるんですもん。膝で立てば安定しますから。でも義足をはめないと、立てないので、いろいろなことができない。そうすると、はずしているときは「これじゃない」って思う。どっちもこれじゃないと思う、なんか変な感じです。

 踊らせていただく機会が増えて、ちょっと即興でやってくださいと言われたときに、どっちで行こうかすごく迷うんですよ。現場に床の状態とか、本当に最後の最後で決めます。

 

伊藤 それから、私が森田さんのダンスを見て思ったのが、体の軽さです。SLOW MOVEMENTではリフトのシーンがありましたよね。特にヨーロッパのダンスって、妖精を踊ったり、白鳥を演じたり、「いかに体を軽く見せるか」というところにひとつのポイントがあったと思います。それはあくまでイリュージョンとしての軽さなんですが、森田さんの場合は本当に軽いんですよね。

 

森田 それは考えたことがなかったですね。身長を考えたら軽いというわけではないと思います。最近は太るとお腹が重たいなと感じるようになってきました。ただ、体重は基本的に増えないです。気を抜いたら減りますね。

 SLOW MOVEMENTではリフトをしましたが、めったにやりません。バランスが取りにくいので、怖いんです。あれは試行錯誤の結果にできたんです。

 

伊藤 だれかと一緒にダンスをしたり、作品をつくるとき、他の人の体のことをどのように感じますか。

 

森田 全然違うこと、自分では絶対に出てこないことが出て来るので面白いですね。一昨年、北村成美さんと半年かけて13分の作品を作りました。二人でいろいろなことを話して、即興のなかでよかった感覚や形をピックアップして作品にしました。話していて面白かったのは、「違うところはいっぱいあるから同じところをさがそう」と北村さんが言ったことです。「同じことをやっても違うふうに見えるから、それを見せたいよね」って。なかなかそういうコンセンサスはできないので、とても良かったです。ワークショップの企画などもありますが、人に振り付けるということをちゃんとやったことがないので、今後はやるチャンスがあったらいいなと思っています。

(2017/3/22 13:00-@大阪鶴橋のお好み焼きやさん「風月」にて)