東工大での講義「アートから見る日本社会」では、学生にオーラルヒストリーの課題を出しています。歴史的なこと含め何でも「情報」として処理しがちなことを、ちゃんと当時の文脈に置き入れ、その時代を生きた人にとっての「意味」を感じてもらうため。そのテーマのひとつが太平洋戦争。多くの学生がおじいさんおばあさんにインタビューしてきてくれましたが、こんな授業ができるのもあと数年でしょう。
インタビューの内容は学生が文字起こしして感想とともに提出してくれましたが、これがなかなか面白い!どれもが「教科書に書いてあった話」とは違う、具体的なエピソードです。資料的価値の高いものだと思いますので、本人の許可をとって、何点かここでご紹介します。
①小学生時代に戦争を経験したおばあさんの話(笹沼勇人くん)
当時の教育の様子や焼夷弾の怖さについて細かく語られています。山手線(当時は「省線」と呼ばれていた)を待っているときは敵機の標的になりやすいので、ホームの下に隠れて待っていたそうです。
②小学生時代に戦争を経験した大叔父の話
小学生の子どもが亡くなった妹を焼くという壮絶な経験(棺桶がなく米びつで代用した、裏側が生焼けで起き上がってきて怖かった、匂いが消えなくて苦労した…etc.)、戦後の占領下で初めてピーマンを食べたときの嬉しさ等、非常に詳細に語られています。
③東京大空襲を経験した祖父の話(Kくん)
このHPを見て、授業を履修していない学生が自主的にオーラルヒストリーを行ってくれました。当時の物資流通の状況や大学生の生活、「水筒の中身が沸騰する熱さ」だったという東京大空襲時の様子が克明に語られています。